びりっかすの神さま(岡田淳)

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少しタイトルが変わっている本ですが、大人向けの本ではなく児童書です。なぜ、40代の僕が児童書を読んだかというと、たまたまYouTubeで見た「本のソムリエ」こと清水克衛さんがおすすめしていたからです。「魔法の三冊セット」と言われているもので、その2冊目に読むといいとされているのが、この「びりっかすの神さま」。

正直なところ児童書ということで、なめていました。

転校したての主人公が教室にいた「びりっかすの神さま」との交流を描いた物語です。その神さまを見るには条件があり「クラスでビリになること」。これを知った主人公がビリを取り続け、やがて、隣の女の子にも知られてしまい、クラス中の子たちが知ってしまうというお話。「びりっかすの神さま」が見えると、心の中で会話ができるようになり、「びりっかすの神さま」を見たい子たちは、みんなで「0点」を取るようになってしまうのです。

そのうち子供達も、わざとビリになるのもどうかと考え始め、一生懸命やって、それでもビリだった人にもわざと負けることは、その人を馬鹿にしていると思い始めるのです。

友達同士で順位をつけることにも、わざとビリを取ることにも違和感を感じ、結局、クラスのみんなが出した答えは何のなのか。

僕は最後の答えに納得しました。大人の世界では、1番になるために生きている人が多いのが現実。もちろんそれを全て否定しませんが、競争することを息苦しく思う人もいるわけです。その反対で、ビリを取り続けるのも社会人としては成り立ちません。この物語で感じたことは、世間体を気にしているからこそ優位性を気にかけてしまう。1位もいいけれど、誰かと比べて1位になっている以上、世間体の呪縛からは逃れることはできません。でも、心のそこから我武者羅になった時、結果にこだわらず、世間体も忘れ、出し切れるのではないでしょうか。僕も、小学校のころのように無我夢中で物事に集中することがなくなった気がします。この歳だからこそ、そういう気持ちをもっと大切にしようと思いました。そのことに、優しく気づかせてくれる良作です。